2024/04/29

すこやかドイツ 基本の"き"[4]:日光浴とビタミンD

 ビタミンDとは、日光に当たることを通して産生される、骨の形成などに関与するホルモンです。このホルモンは、カルシウムが骨になるのを助けるだけでなく、免疫機能や、うつ病などの精神面の機能との関連性も示唆されていることから、健康維持に非常に大切な要素の一つになります。


 ドイツは、日本に比べると日照率が低く、ビタミンDが不足しやすくなり、注意が必要です。

 ドイツ人も、ビタミンD不足の方が多く、健康診断でもビタミンDの値をチェックし、必要に応じてお薬としてビタミンDの処方があったり、また、一般にもビタミンDのサプリメントなどが出回っていることから、健康維持目的として、自発的に摂取する方も多くいます。

 ビタミンDが不足している場合、個人的には、サプリメントより、日光浴や、お魚などの食事からビタミンDを摂取する方法がお勧めです。(ビタミンDに限らず、更年期などのホルモン療法、経口避妊薬やペットボトルの使用頻度と量など、ホルモンの摂取に関して、一般的にずっと慎重であるべきと、私は考えています。)数年だけドイツに滞在して、日本に帰る予定で、どうしても日焼けをしたくないという場合には、サプリメントを活用してもいいかも知れませんが、過剰摂取および長期服用には、注意が必要です。

 ドイツは日照率が低いとはいえ、春過ぎから秋までにかけては、日照時間が長くなるので、その期間にしっかりお日様に当たるようにしましょう。

 日焼けや、日光を通して皮膚にかかる負担が気になる方もいらっしゃるかも知れません。“どの程度の日射量なら無害の領域に止まるか。”と、いうのは、個人によって大きく異なりますので、“ご自身にとってバランスの良い量”を見つけていくことが必要になります。

 余談になりますが、日本で、昔よく目にした光景、“おばあちゃんの日向ぼっこ”は、ホルモンバランスが変わり、骨が脆くなりやすくなった女性が、ただ「気持ちいい」から本能的に知っていた、生活の知恵だったのかも知れませんね。

 ビタミンDを豊富に含む食品としては、お魚や、卵、レバーやきのこ、アボカドなどがあります。これらの食品を、日常の食卓に積極的に取り入れることで、自然な形で、ビタミンDを補給することもできます。

 

 これからの季節、外出しやすい暖かい気候になります。しっかりとお日様を浴びて、ビタミンDが豊富な、すこやかな身体づくりが出来るといいですね。

2024/04/10

すこやかドイツ 基本の“き”[3]:睡眠

すこやかドイツ 基本の“き”

3回目のテーマは、“睡眠”です。


一口に睡眠といっても、実に色々な要素があります。その中でも、自然療法士として、最も大切だと感じていることは、“質”です。

人の身体は、常にバランスをとりながら健康を保っているので、睡眠を使ってバランスをとろうともします。必要な睡眠時間や、快眠できる睡眠環境などは、このため、人によっても、人生の時期によっても、更に細かくみると、日によっても異なります。

その中でも、全員に共通して、一貫してお勧めすることは、

  1. 決まりのある就寝時間(出来れば22時までの就寝)
  2. 清潔な寝具
  3. 電磁波を発するものが側にない就寝環境
の、3つです。


1.  22時までの就寝

22時までに就寝するというのは、お仕事をされていると難しいことも多いと思います。特に、病院などでシフト制の勤務時間をこなす方にとって、毎日同じ時間に就寝するのは不可能です。そういった場合にでも、自分なりの規則を作って、なるべくリズムを保ち、日々の生活で、なるべく朝日を浴びるようにして、睡眠と覚醒に関わるホルモンのバランスをとるよう、心がけることをお勧めします。

2.  清潔な寝具 

清潔な寝具は、気持ちが良く、快眠を助けるという意味でも、ダニやバクテリアなどの病原菌が免疫系にかける負荷を減らすという意味でも、大切になります。

3.  電磁波の少ない就寝環境

電磁波が身体に及ぼす影響に関しては、直接の因果関係を実感するのが難しいため、電磁波の危険性を認識するのは、難しいかも知れません。ですが、電磁波に敏感な方々は、寝る時に寝室のブレーカーを落とすくらい徹底しています。

過去に一度、「近頃よく眠れない。」という話を聞いた時に、最近その方が設置したという、寝室に近いW-LANのスイッチを切ってから寝てみたらとアドバイスし、「なんかちょっと信じられないけど、またしっかり眠れるようになった。」というフィードバックをもらったことがあります。

「自分は何も感じないから影響を受けていない。」と判断する方もいらっしゃるかも知れませんが、人間は、身体に起きていることを全て認知できている訳ではないので、苦にならない範囲で、電磁波の強い場所を避けるというのは、決して間違った行為では無いと思います。

その他、眠りが浅かったり、睡眠後に疲労感が残る場合、自分で点検できる点や、試してみることのできるグッズについてはこちらをご覧ください




2024/04/02

自然療法士って何の資格?

 ドイツ国内では、資格を有する者のみが、診療・治療行為を許されています。

 日本では、アロマセラピーなどの代替療法に関して、資格がなくても行ってよいことになっていますが、ドイツでは、医師か自然療法士(Heilpraktiker*in)の資格があって初めて、代替療法を行うことが許されます。


自然療法士の資格は、

  • 医学的な基礎知識を有しているかどうか
  • リスク管理が出来るかどうか
  • 関連法律に関する知識が十分であるか

という点について問われる試験を受け、合格した者に与えられます。

 試験の内容から分かるように、資格を取得した後、どのような治療法を用いるのかという点については、基本的に問われません。(口頭試験の際に、「こんな時はどうする?」と、尋ねられることはあります。)

つまり、「目の前にいる人に、安全な方法で遂行できるなら、法律で規定されている範囲で、自由に診療・治療行為を行ってもよい。」と、許された人たちが、自然療法士です。

ですので、自然療法士が行うことは、非常にバラエティーに富んでいます。

ハーブやアロマオイルを使った、正に"自然の恵み"のみを使う自然療法士もいる一方で、ホルモン療法やビタミン剤の点滴など、西洋医学でも使われている方法のみで診療する自然療法士もいます。

針治療や、オステオパシー、カイロプラクティックや、心理療法、エネルギー療法(日本で気功と呼ばれているものに似ている)も、自然療法士が用いる療法に含まれます。

検査の方法も、目の虹彩や顔、舌を観察して行われる古典的な方法から、ラボに検体を提出して行う現代的な検査まで、様々な方法が用いられています。

 このような、"Methodenfreiheit"(手法の自由性)は、健康保険の適応や資格によって、手法が限られている職種と比較すると、大きなメリットとも捉えられます。



 私自身は、理学療法士として、西洋医学の世界からセラピストの道を歩み始めたこともあり、また、性格的なものもありますが、西洋医学的な方法も、自然療法も、引いてはスピリチュアルな世界も、全てを否定しないというスタンスをとっています。

人はそれぞれ、異なった特性を有しているので、個人が必要とするものは多様であること、また、同じ人であっても、人生のその時期において必要とされるものは、移り変わること、そして、生きている社会から求められる常識と、その方が感じ、必要としているもののバランスが取れていることも、健やかに人生を過ごすことの出来る、大切な要素の一つと考えているからです。

当院で提供している自然療法は、このコンセプトに基づきながら、全体のバランスを取ることが出来る方法、かつ、部分的に特別なケアが必要な箇所にアプローチも出来る方法という条件の基に選ばれています。

2024/03/25

すこやかドイツ 基本の“き”[2]:塩

すこやかドイツ 基本の“き”

次の一歩は、塩です。


 水と塩は、人間が経口摂取する自然の物の中で、唯一の無機物です。

この二つは、体内の電解質バランスを整え、健康な身体の基礎となります。


塩に関して、自然療法士として最も大切と考えるのは、精製塩を避けることです。

精製塩は、本来塩に含まれている様々なミネラルが除去されていて、ほとんどがナトリウムでできています。

天然塩から除去されるミネラルの中には、ナトリウムと反対の作用を持つものもあり、それらが除去された精製塩は、ナトリウムの効力のみが前面に出た物質に変わります。つまり、“バランスが取れた天然の塩”から、“バランスが崩れた人工的な塩”に変わるわけです。

人間の体は、あらゆる意味で、常にバランスをとりながら健康な状態を保っていて、バランスをとりきれなくなると、不調が現れます。

ですから、口に入れるものも、なるべくバランスがとれた物の方が、身体にとっては処理するのが簡単で、病気になりにくくなると考えられます。


とはいえ、今の時代、精製塩が使われている外食を避けるというのは、どこかの社会に属している限り、不可能に近いですね。スーパーでも、塩が入った製品は、大抵が精製塩 (Speisesalz) なので、精製塩を完全に断つのは、難しいでしょう。そんな中でも、せめて、ご自宅で使われる塩に関しては、天然塩を用いられてみてはいかがでしょうか?

特に、海からの恵みがちりばめらた日本の食生活から、ドイツの食品が日常の生活にシフトすると、知らないうちに摂取できていたミネラルの量が減ってしまう可能性が高く、そこを補うという点も含めて、ドイツで暮らす日本人の方には、天然塩の使用をお勧めいたします。


ドイツの天然塩に関して、詳しくはこちらをご覧ください。


〈余談〉

南アメリカの方では、怪我をしたときに塩の入った布袋を作り、幹部に貼り付けてアルコールを垂らし、塩に含まれる成分(ミネラル)を皮膚から浸透させることで治癒過程を助ける方法が、昔から用いられています。

実際に、ブラジル人の友人を持つドイツ人の女性が、ひどい捻挫をした時に、70代半という年齢にも関わらず、その友人から教わったこの方法で、劇的に回復を遂げていくのを、私も目の当たりにしたことがあります。

塩には、私たちの想像を超える効能があるのかも知れませんね。


2024/03/18

すこやかドイツ 基本の“き”[1]:水

ドイツで健やかに暮らす。

最初の一歩は、「水」です。


水の大切さは、至るところで、語り尽くせないほど語られています。

「健康」という観点からは、

  1. 体内の電解質調整
  2. 主に腎臓や汗を通しての解毒作用
  3. 汗を通しての体温調整


に関して、特に飲料水は、非常に重要な役割を果たします。



ドイツは、水道水が飲める限られた国のうちの一つですが、日本の水道水と異なるのは、硬水である点です。

硬水そのものは、健康に害があるとはされておらず、ドイツの水道水を飲用することが、直接病気に繋がるとは、言えません。


しかしながら、自然療法士としては、水道水に含まれる成分の中で、特に次のものが気になります。

  1. 鉛などの有害ミネラル(重金属)
  2. 薬品の残骸(農薬及び医療用薬品)
  3. ペットボトルなどから溶け出す環境ホルモン

これらの物質を避けるには、浄水器を使用したり、飲用水を購入するという方法があります。


飲料水、いわゆるミネラルウォーターを購入する場合に気をつけておきたいのが、ミネラルウォーターを販売する際に、農薬含有量や一定のミネラルのチェックが義務付けられていない点にあります。

また、ペットボトルなどの合成物質が容器の場合、病原菌が繁殖しやすい環境になることも指摘されています。

このため、飲料水を購入する場合には、ガラス容器で、なるべく深い水源からのものにする様に、勧められています。


もう一つの選択肢、浄水器として、最も広く用いられているのは、おそらくブリタのTischwasserfilter(卓上浄水器)でしょう。ブリタの浄水器は、水の硬度を下げ、塩素や鉛、銅の含有量を減らすと謳われています。つまり、水を飲みやすくして、かつ、有害ミネラルを一部除去してくれるわけです。


この浄水力に留まらず、薬品残骸物や環境ホルモンなどの除去もできる浄水器もあります。(一番お勧め)これらの浄水器は、水道の蛇口に取り付ける製品と、水道管に取り付ける製品があります。


輸送にかかる燃料や、持ち運びなども加えて考慮すると、飲料水は、購入するよりも、浄水器を使用する方が、体にも環境にも優しく、時間と労力も少なくて済むと考えられます。


また、正に自然の浄水器として、備長炭を使うこともできます。

備長炭には、水中のカルキや不純物を吸収する力があるとされています。

お手入れに、煮沸してから乾燥させるという手間がかかり、どの程度の浄水力があるのか不明であるなど、利便性や確実性に欠ける点はありますが、自然に近く、環境に優しい方法という点では、他の浄水方法とは一線を画するでしょう。



ドイツで用意できる浄水器については、こちらをご覧ください。


水質を汚染している物質と、その健康への影響については、また別の機会にお便りできたらと思います。

2024/02/14

ご挨拶

フランクフルト・アム・マインの、自然療法および理学療法診療所です。

よろしくお願い致します。

すこやかドイツ 基本の"き"[4]:日光浴とビタミンD

 ビタミンDとは、日光に当たることを通して産生される、骨の形成などに関与する ホルモン です。このホルモンは、カルシウムが骨になるのを助けるだけでなく、免疫機能や、うつ病などの精神面の機能との関連性も示唆されていることから、健康維持に非常に大切な要素の一つになります。  ドイツは...