すこやかドイツ 基本の“き”
次の一歩は、塩です。
水と塩は、人間が経口摂取する自然の物の中で、唯一の無機物です。
この二つは、体内の電解質バランスを整え、健康な身体の基礎となります。
塩に関して、自然療法士として最も大切と考えるのは、精製塩を避けることです。
精製塩は、本来塩に含まれている様々なミネラルが除去されていて、ほとんどがナトリウムでできています。
天然塩から除去されるミネラルの中には、ナトリウムと反対の作用を持つものもあり、それらが除去された精製塩は、ナトリウムの効力のみが前面に出た物質に変わります。つまり、“バランスが取れた天然の塩”から、“バランスが崩れた人工的な塩”に変わるわけです。
人間の体は、あらゆる意味で、常にバランスをとりながら健康な状態を保っていて、バランスをとりきれなくなると、不調が現れます。
ですから、口に入れるものも、なるべくバランスがとれた物の方が、身体にとっては処理するのが簡単で、病気になりにくくなると考えられます。
とはいえ、今の時代、精製塩が使われている外食を避けるというのは、どこかの社会に属している限り、不可能に近いですね。スーパーでも、塩が入った製品は、大抵が精製塩 (Speisesalz) なので、精製塩を完全に断つのは、難しいでしょう。そんな中でも、せめて、ご自宅で使われる塩に関しては、天然塩を用いられてみてはいかがでしょうか?
特に、海からの恵みがちりばめらた日本の食生活から、ドイツの食品が日常の生活にシフトすると、知らないうちに摂取できていたミネラルの量が減ってしまう可能性が高く、そこを補うという点も含めて、ドイツで暮らす日本人の方には、天然塩の使用をお勧めいたします。
ドイツの天然塩に関して、詳しくはこちらをご覧ください。
〈余談〉
南アメリカの方では、怪我をしたときに塩の入った布袋を作り、幹部に貼り付けてアルコールを垂らし、塩に含まれる成分(ミネラル)を皮膚から浸透させることで治癒過程を助ける方法が、昔から用いられています。
実際に、ブラジル人の友人を持つドイツ人の女性が、ひどい捻挫をした時に、70代半という年齢にも関わらず、その友人から教わったこの方法で、劇的に回復を遂げていくのを、私も目の当たりにしたことがあります。
塩には、私たちの想像を超える効能があるのかも知れませんね。